NHKアーカイブス1995年の番組で印象に残った場面があったので書き留めました。
釈迦が故郷へ向かう旅の途中での話であり、死を直前にして人々に残していった言葉を探ります。
インド哲学者の中村 元氏、きき手は草柳 隆三氏。
インドでは植物をまるで自分の仲間で生あるものとして樹木を愛する。
そして大きな樹木があるとそこに塚を作り神が宿るとして大切にする。
晩年、80歳のブッダ(釈尊)は
「世界は美しいもので人間の生命は甘美なものだ」といって思い出の地をゆっくり眺めながら別れを惜しんだ。
釈尊はインドのカースト制度の中で、上下の隔てなしに人に接した。
旅の途中で(下層階級の人間)チュンダが釈尊に「おもてなし」をしようと食事を差し上げた。
釈尊はその申し出を快く受けたというのです。
しかし、その食物にあたってしまったようです。(今で言う赤痢のようなもの)
チュンダは自責の念にかられた。
釈尊はもてなしてくれたチュンダを責めることなく
思いやりの言葉で「意義深いものであった」と言われたという。
旅をするに連れ随分衰弱してきた釈尊は愛弟子、アーナンダに「喉が渇いた、水を飲みたい」と言う。
人間ブッダが苦しまれている。
生まれ故郷に辿りつけず旅の途中でアーナンダに「サーラ樹(沙羅双樹)の間に頭を北に向けて床を用意してくれ」と言う。
愛弟子の方が悲嘆にくれていると「生あるものは破壊されるものである。」と釈尊が叱咤激励する。
「私が伝えた言葉が死後にお前たちの師となる」と諭した。
民族、宗教を超えて釈尊の言葉に耳を傾けると同感することがあると哲学者 中村 元氏は述べています。