明治時代修身鑑本 明治24年
明治時代に出版された女子教育のための修身鑑本があります。
良妻賢母の鑑の話がいくつも紹介されています。
定価金拾弐銭 と書かれています。祖母が使っていたもの。
この本は高等小学校、もしくはこれと同等の女学校の教科書向きであるので高尚な言葉は載せず簡単で読みやすくしてあると前書きにあります。
父母の恩
第一巻第一課の最初の内容が父母 父母の恩です。
明治の女性になったつもりで読んでみます。
女子は家に居るときは父母に事へ(ことしたがい)嫁げば舅姑にことしたがってその道を失ってはなりません。
全ての善行は、ここから始まります・・・・という意味で始まります。
そして父母の恩は極限がなく、それは天地に等しい。
父母がいて自分がいるのです。その恩は海より深く、山より高い。
海山は限りがあるが父母の恩は限りがありません。
どうやってその恩に報いましょうか、父母へは力を尽くしても惜しむことはありません。
という意味が書かれています。
自由という権利を主張できる今の世の中とは違って女子教育が徹底されていたのですね。
第36課 多言の誡め
女子は、言葉多きを誡(いまし)むと、古人も云へり。口さがなく、人のうはさし、人を謗り(そしり)などするは、いと卑しむ(いやしむ)べき事、・・・
これは男女問わずに現代でも通じることですね。
第28課 紫式部
紫式部は、幼きより、才知世に聞こえて詠歌をよくし、博く和漢の書に通じ、
かねて、朝廷の典故にさへ、明かなりき。時の中宮、上東門院は、文学を好ませ給ひて、奉仕する女房にも、和泉式部、小式部、伊勢大輔など才学すぐれし人々多かりしが、紫式部もまた、召されて宮仕しけり。
活躍していた女性、紫式部を通して女性の教養を重視していたように感じられます。